今回は私が日ごろ、中小企業の法務相談でよく受けるご相談の内容として、会社の方が従業員を採用してもう4、5年経過し、そういうときに勤務態度が悪いということが最近見受けられるようになって、従業員の方を解雇したいが解雇して問題ないか、という相談を受けることが最近多いのですけれども、解雇問題というのは非常に慎重に考える必要があります。


というのも解雇とは労働者の職場で働く権利というか、そういったものを一方的に剥奪するような内容になりますから、労働者に対する不利益処分の中でも一番大きい種類に属するものなのです。

そういった点から解雇に関しては、労働契約法で解雇が認められる場合が定められていて、まず解雇については客観的に合理的な理由があるか、またその解雇することが社会通念上相当であるか、そういった2点が問題になります。

よくあるのが例えば「決められた時間に出勤しないことが、1ヶ月に3回以上ある」とか、「今月も遅刻をして先月も遅刻があった。そういうことがあるから解雇したいのです」という相談なのですが、確かに遅刻は就業規律違反ではあるのですが、解雇まで認められるかどうかという観点からいけば、遅刻に伴ってどれくらい会社の方に損害、支障が生じたかということが問題になったりします。

確かに会社側の言い分として、「遅刻があると職場環境が乱れてしまってほかの従業員の士気にも影響を及ぼします。ですからみんなが守っているなかで、1人だけ守っていない従業員がいることが会社にとって損失だ」ということをよくお話されます。

ですが、それだけだった場合には直ちに解雇が有効になるかというのは、先ほど申し上げた社会通念上相当であるかという観点からいくと裁判所の中では慎重に判断されることもあります。

そういった中で解雇を実行してしまった場合には、後日、労働契約上の地位があることの確認を求める労働審判や労働訴訟が提起されてしまって、働いていないのに、後日賃金をまとめて払わなくてはいけないこともあります。

ですから解雇については就業規則を定める必要があるのですが、それだけではなく解雇をするまでに今までに注意をしていたかどうか、そういったところから慎重に判断する必要がありますので、特にその解雇処分等を検討されている場合には、ぜひ一度専門家に相談に行ってみていただければと思います。

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